ハタオリマチフェスティバル2日目のトークにご出演いただくのは、FUJIHIMUROで展示と受注会を行っていただく、イイダ傘店の飯田純久さん。糸を染めるところから富士吉田でつくった「朱子縞」の傘のことをテーマに、その布をつくった宮下織物代表の宮下珠樹さんもお迎えして、装いの庭・藤枝がお話を聞いていきます。
飯田さんと初めて会ったのは、2013年の春ころだったと思います。新しくオープンするお店の取り扱い商品の相談か、イベントの出店依頼かでメールを送ったところ会いに来てくださり、お話をしました。その後、布をテーマにしたイベントやクラフト市に参加してもらう関係が続いていきます。仲良くなって受注会にも何度か伺わせてもらいました。毎回、ユーモアのあるデザインの傘が並び、傘だけではなく、訪れた人が楽しめる遊びが散りばめられていて訪れるだけでもワクワクする受注会。傘を買う勇気は出せなかったけれど、コマバッグという傘の三角形を活かしたバッグを買って、それを使っています。頻繁に持っているので藤枝といえば三角のバッグという人も多いようで、カフェで飯田さんの奥さんにばったり会ったときにそのバッグでわかったと言われたことも。
年2回、傘の受注会を全国各地で行うイイダ傘店は、イベント出店にも独自のスタイルが貫かれていて、毎回驚かせてくれました。その一方でぼくの中では、いつかイイダ傘店の主軸である「受注会」をお願いしたいという気持ちがずっとありました。一緒に仕事をするなら、その作家の本領を見たい! 今年はその想いが実に10年越しに実現したうれしい年です。
展示のメインに据えられ、山梨会場限定(!)でオーダーできるのが、宮下織物の朱子縞の傘です。これは2007年に生産された生地の復刻で、飯田さんの初めての本「イイダ傘店のデザイン」の中にも大きく取り上げられています。活動初期に一度だけ作った、とても思い入れの深い生地だったそうです。
織物はプリントやニットに比べて作る上での制約が多く、難易度が高い布です。特に山梨で織られているような細い糸を糸から染めて密に織る布は、生産背景がどんどん細くなっている実情もあり、ますます作ることが難しくなっています。今回の展示に向けて制作した朱子縞の布も、以前オーダーしたものだからといってスムーズに進んだわけではなく、さまざまな困難を乗り越え、展示にたどり着きました。布に苦労のあとが刻まれているわけではありませんが、それでも、かんたんには行かない工程は、雰囲気や佇まいに表れるものではないでしょうか。
トークイベントでは、この生地をつくる中でのお話を飯田さんと宮下さんに伺っていきます。飯田さんがどんな風に工場と関わり、また工場である宮下さんがどんな風にデザイナーの要望を受け止め、ものづくりを実践しているのか、せっかくのハタオリ産地でのお話の機会なので、そういうところも掘り下げて聞ければ。ぜひ足をお運びください。
イイダ傘店
店舗を持たず、春と秋の年2回、全国を旅して受注会を行うオーダーメイドの傘屋。毎年、傘作家の飯田純久がデザインしたオリジナルの生地が発表され、お客さんは実際に傘に触れながら、好みの生地やサイズ、持ち手の組み合わせをオーダーしていくことができます。傘のほかにもテキスタイルデザインを活かしたバッグやハンカチ、ポストカード、カレンダーなどのグッズも展開。
宮下織物
富士山麓の織物の伝統を現代に受け継ぐ、ファブリックメーカー。主にドレス生地や舞台衣装として使われる無地のサテン生地やジャカードの織物を製造しています。
10/22 ハタオリマチトーク 参加概要
開催場所:喫茶檸檬 富士吉田市下吉田2丁目2−27
時間:10/22 11:00~12:00頃
定員:25名程度(先着順) 料金:無料 ※店内でワンドリンクの注文のみ必須でお願いします