「もともと富士吉田、大嫌いだったんですよね。」
今回、まちあるきの案内人の一人を務めていただく渡辺一史さんは、そんな言葉を躊躇なく語ります。でもその言葉の裏には、富士吉田の光と影を見つめてきたからこその街に対する愛が詰まっているのです。渡辺さんは、生まれも育ちも富士吉田。お父さんが※1呉服屋さん、お母さんが※2御師さんという、まさに富士吉田の街や人に囲まれて、歴史や営みを目の当たりにして育ってきた方です。だからこそ、良くも悪くも、冒頭のような気持ちが自然と芽生えてしまっていたのかもしれません。現在は、公私ともに富士吉田市を支えるお仕事や活動をされていて、徐々に街に対する思いも変わっていったと言います。
年月を経て、間近で街に接してきた渡辺さんが、今想う街の魅力についてうかがうと、こうお話してくれました。
「富士吉田の街って、時代の流れとともに、その歴史とか人々の想いとか、まさに様々な光と影が何層にも街に折り重ねられて、積み上げられて、浸み付いてきていると思うんです。普通は、この街はこれ!って何かテーマが決まってたりすると思うんですけど、この街の面白いところって、時代時代によってその層の厚みが変わっていたり、1つのジャンルに絞れない幅広さがあるから、それぞれの人の視点とか興味に合わせて見え方を変えられるんです。」
「毎回まちあるきでご案内する時は、本当にLIVEみたいな感覚でやっているんです。一緒に歩く人がどんな人なのか、どんなことに興味を持っているのかによって、その場で道順を変えたりしてるんですよね。僕のまちあるきは”臨場感”っていうのがテーマだったりするので、街の良い部分だけじゃなくて、僕が知っている街の影の部分も、LIVEのようにありのままお話するようにしています。」
この街を好きになってもらいたい。だからこそ、影の部分もちゃんと知ってもらいたい。渡辺さんのまちあるきは、街への愛で溢れていました。
織物、音楽、アート、酒、文学 ・・・。渡辺さんのまちあるきを通して、この街の懐の深さや、幅広さを感じてもらいたいと思います。
この街で生まれ育ったからこそ、言葉にできることがある。
※1 織物産地である富士吉田には古くは多くの呉服屋さんが下吉田の街に軒を連ねていました
※2 富士山信仰と縁深い街上吉田の街は神職である御師さんが支えていました
「あなたの知らない下吉田」
日 時:10月7日(土) 13:30~15:00 / 10月8日(日) 10:30~12:00
場 所:小室浅間神社出発
参加費:無料
定 員:両日各10名
予 約:当日朝10時から開始時刻30分前までに神社内本部にてご予約ください